2015.06.22カテゴリ|ブログ
こんにちは、わたなべ動物病院の渡辺です。
最近、異物やワンちゃん、猫ちゃんにとって有害なものを誤食してしまい、
対応することが多いので、注意喚起のためにもブログに(厳しいことも)記載します。
何を食べてしまったかは今から書きますのでご参考にしてください。
(病院関係者は手術等でよく見聞きするものですが、飼い主さんはビックリされることが多いです。)
2歳の猫ちゃんが食べたものを数日前から吐き続けるとのことで来院されました。
血液検査では大きな問題はなく、単純(バリウムなどの造影剤を使わない)X線検査でも明らかな異常は検出されません。
(これらの検査だけでは異常を検出できないこともよくあります。)
布などを食べる癖があるとのことで、エコー検査を行ったところ、異物を疑わせる画像とその前の腸管の拡張
(異物によって腸液などが流れず、滞り、膨らんでいます。)を認めました。
異物による腸閉塞が疑われ、試験開腹を推奨し、腸管切開手術をしたところ、腸管に詰まっていたのは・・・
(手術写真なので、見られない方はご遠慮ください。)
ネズミのおもちゃでした。
1枚目の写真はおもちゃがつまって、どす黒く、色が悪くなっている腸管と正常なピンク色をした腸管です。
2枚目の写真では正常な腸管におもちゃを移動したのち、切開して摘出しています。
3枚目は取り出したのち、きれいにしたねずみのおもちゃです。
腸管からネズミのおもちゃが出てくるのはホラー映像に近いものがあります。
ネズミのおもちゃ以外にも、梅干しやプラムの種、靴下、テニスボール、大きな石ころ、トウモロコシの芯、60cm程度の紐など、
僕らからは想像もしないようなものでも飲みこんで、病院に来てしまう動物さんがいます。
この猫ちゃんも今は元気にしており、今では飼い主さんも注意してくれているので、
このようにブログに記載することもできます。
しかし、異物に限らず、緊急手術ではどうしても助けられない子もいます。
私自身、こう治療すれば良かったのか、タイミングはどうだったのか後悔することがありますが、
異物が原因の場合、飼い主様の悲しみは測り知れません。
異物による手術が無くなることは、なかなか難しいですが、減らすことはできると思います。
忙しいと難しいこともありますが、誤食癖がある場合はおもちゃや薬、食べてはいけないものを置きっぱなしにしない、届くところにはものを置いておかない、物の側に行けないようにするなどの工夫が重要です。
人間の赤ちゃんと一緒ですね。
手間はかかりますが、それ以上のものを動物さんに貰っている以上、一緒にいる人の義務かもしれません。
また、手術にならない子でも、チョコレートや玉ねぎを食べてしまったり、異物(クッションの綿など)を食べてしまって、催吐処置をすることがあります。
すぐに連れてきてもらえると体に負担が少ない対応ができるので、よく見てくれていると動物さんにとっても助かります。
しかし、催吐は鋭利なものや化学物質によっては食道を傷つける恐れもあります。
異物を飲んだ子すべてに適応できるものではありません。
また、催吐によって異物が食道に詰まる可能性、誤嚥(吐物が気道に行ってしまうこと)の可能性などを考えると、完全に安全な処置ではありません。
当院では比較的安全性が高いと言われている注射薬による催吐を行っていますが、まれに痙攣が起きることもあります。
催吐で吐き出せた場合も動物さんは血管に管を入れられて痛かったり、吐き気がきたりと負担にもなります。
なるべく、こういった処置をせずに済むことが一番です。
うちの子供(人間2歳)でもヒヤッとすることがあるので、動物ではなおさら、誤飲を無くすことは難しいかと思いますが、なるべくの注意をよろしくお願いいたします。
また、吐かせる処置を家で出来ないかと言われ、飽和食塩水を飲ませる方法はどうですかと問い合わせを受けることがあります。
この方法は中毒を起こして死亡する例が報告されています。
家で安易に行うのは大変危険なので、誤飲時には主治医の先生にまずご相談下さい。
わたなべ動物病院 渡辺高司