2015.03.01カテゴリ|ブログ
こんにちは、わたなべ動物病院の渡辺です。
今回のテーマは耳血腫=耳に血が溜まり、下の写真のように腫れ上がる状態についてです。
(写真は手術前の耳介の状況です。血が溜まり、膨れ上がっています。)
外耳炎などの痒みを伴う疾患等が原因となり、動物さんが耳を振る、ひっかくなどの行為を行い、
耳の血管が破綻し、出血を起こし、耳介に血が溜まります。自分の免疫による関与も疑われています。
治療しないと耳の不快感や外観の変化が大きい疾患です。
治療法としては
外耳炎などの原因疾患の治療を行うこと。
血腫に対しては
1.何度か血腫を吸引し、治まるかどうか見ていく方法(当院では5回から10回程度しても再発するようであれば、他の治療を行っています。)
2.インターフェロンなどの注射を血腫部に投与する方法
3.外科的に排液をし、血が溜まるスペースを縫合しなくす方法
を行うことが多いと思われます。
1番の治療で治る子もいますが、再発が多いことから5~10回程度、吸引治療するのを目途にして、治らないなら、他の治療法を行っています。
1番の治療で治らなかった子が2番の治療ですぐ治るという事も多々経験しています。
1番や2番の治療で治らない場合には麻酔が必要ですが、3番の外科手術を行います。
手術をご紹介します。(手術法をあまり見たくない方はこの後は読むのをご控えください。)
排液のため、耳介部をS字状に切開します。その後、血餅(血の塊)などの不良組織を除去します。
耳介に血が溜まらないように、血が溜まるスペースを縫合し、縫い縮めます。
術後2週間で抜糸を行います。
その後は血腫も認められず、経過は良好です。
耳血腫には様々な治療法が存在するので、かかりつけの先生としっかり相談して、治療法を決めていってください。
その際のご参考になれば、幸いです。
文責 渡辺 高司