2014.09.09カテゴリ|ブログ
こんにちは、わたなべ動物病院の渡辺です。
今回はうさぎさんの食欲不振で一番多いといっても過言ではない歯のお話です。
ある日の診察で、兎さんが1週間前から食餌の好みが変わって、ペレットの食べが少しずつ悪くなり、牧草も食べなくなってきたとのことで来院されました。
口の中を覗くと下顎の臼歯が尖り、舌に刺さっています。触ると胃が張っています。
不整咬合による食欲不振から胃腸のうっ滞を起こしていると考えられました。
まず、食欲不振や胃腸うっ滞に対して、点滴や胃腸運動改善薬を投与しました。
食欲などは改善しましたが、根本原因は不整咬合なので麻酔下で歯を削りました。
その時の写真が下図です。
左が削る前の尖った歯です。右が削った歯と歯が刺さっていた舌の創傷部です。(赤い所に注目です。)
怖いことに、うさぎさんは伸びた歯を放置することで、食欲不振の持続、胃腸運動の低下から死亡してしまいます。。
そうならないようには何よりも予防が重要です。チモシーなどの乾草を主体に食べさせ、咀嚼回数を増やし、歯が自然と摩耗するように促します。また、牧草でできた齧りおもちゃも有効です。
ただし、一度不整咬合が起きてしまった子はいくらケアをしても、繰り返すことが多く、食欲の低下、好きなものが変化している、口を気にしている、よだれが多い、前よりうんちが少ないなどの症状があれば、すぐチェックする必要があります。症状がなくても、数か月に一度の歯科処置を推奨している先生もいます。
歯の問題と言っても油断はできず、しっかりとしたケアをしてあげてくださいね。
文責 渡辺 高司