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白内障セミナーを受講してきました。

2014.09.06カテゴリ|ブログ

こんにちは、わたなべ動物病院の渡辺です。

先日、白内障に関する眼科セミナーを受講してきました。

セミナーの復習もかねて記載しますので、小難しい内容になっているかもしれません。

ご参考になれば、幸いです。

 

白内障は水晶体という目の中のレンズが白濁する病気です。

進行すると目が見えなくなる病気というイメージは皆さんお持ちだと思いますが、それだけではありません。

レンズの変性(性質が悪くなること)が進み、レンズが溶けてくると目に有害なたんぱく質が漏れ出し、目の中に激しい炎症を起こすことがあります(水晶体誘発性ブドウ膜炎=LIU)。痛みを伴う状態であり、緑内障を併発することもあります。

そのため、白内障の点眼治療は主にLIUを抑えるために、抗炎症点眼を行うことが多くなってきています。また、進行を抑えるための点眼も使用することがあります。

ただし、点眼治療で根本的に治るものではないことから、進行してしまった白内障(視覚に影響あり)は眼科専門医による手術を行うかどうかを考える必要性があります。

手術の為に眼科専門医を紹介する際には、●飼い主さんのお考え、●年齢や進行の程度、●全身状態=麻酔リスク、●目が見えず、生活の質に問題があるのかどうか、●手術の後に点眼などの管理がしっかりできるか、●術後に感染しないように目周りの皮膚や歯、耳などの治療が出来ているか等を評価したうえで相談していきます。

 

また、LIUが併発しやすいことから、早期の外科的介入を考えないといけない白内障としては

・過熟白内障(レンズの白濁が全体にわたり、変性・液化してきているような状態、腐ったトマトのような状態と例えられます。進行しすぎると手術不適応となります。)

・膨張性白内障(糖尿病で多い。レンズが膨化してもろくなっています)

・外傷性白内障  などが挙げられます。

その他にもボストンテリアやコッカ・スパニエル、ボクサー等の白内障は若齢で進行が速いことも多く、注意が必要です。早期の手術を考えてもよいと思われます。

手術に踏み込むかどうかは本当に悩ましい問題だと思います。

年齢や麻酔リスクを考慮して、手術を行わずに経過観察を行う場合も●目をしょぼつかせる、●結膜の充血、●目やにがないかには注意してください。LIU(悪化)の可能性があります。根本治療は手術ですが、症状の緩和は出来るかもしれません。

何がベストかは時として難しいですが、飼い主さんと一緒に一番良い方法を探していければと思っています。

文責 渡辺 高司

 

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