2014.10.28カテゴリ|ブログ
こんにちは、わたなべ動物病院の渡辺です。
今回は皮膚が痒く、お腹を舐めていた猫ちゃんを紹介いたします。
とてもかわいく写真を撮らしてくれてモコちゃん。
しかし、お腹を見てみると赤く盛り上がった病変が複数存在していました。
猫ちゃんではよく見られる病変です。
そこで、皮膚病変部の細胞検査(図1)をしました。
図1 皮膚病変部の細胞
図1の一部を拡大したものが、図2と図3です。
図2 好酸球
図2では3つの丸い細胞が写っています。このように紫色の核(細胞の中にある遺伝子を作るもの)の周りにある細胞質が顆粒状に赤く染まるもの(=好酸性)が好酸球と呼ばれる細胞です。好酸球はアレルギー性の疾患で出てくることが多く、猫ちゃんのアレルギー性皮膚炎で出てくることも多いです。
図3 好中球
図3では好酸球と似ていますが、周りが赤く染まらない好中球(=炎症時や細菌などと戦う時に出てくる細胞)が認められます。
図2、3の両方に小さい紫の点々が認められますが、それらは細菌です。
アレルギー性皮膚炎だけではなく、細菌性の皮膚炎(膿皮症)にも陥っています。
この結果から、好酸球性皮膚炎並びに続発する膿皮症と診断しました。
そのため、アレルギーと細菌に対する治療を行いました。
菌を退治するための抗生剤、アレルギーや痒みに対して抗ヒスタミン薬、ステロイドの局所スプレー、ノミの駆除薬(アレルギーの原因は多岐にわたりますが、ノミが関与していることも多いため)を用いました。それらの治療を1週間したところ次のようになりました。
大分綺麗になりましたが、痒みが気になるとのことで少量のステロイドの内服も加え、治療を続けたところ、1か月後にはほぼ完治です。
今後も繰り返す可能性があるので、注意が必要ですが、綺麗になって良かったです。
皮膚病もいろいろな原因があり、一生のお付き合いをしないといけないことも多々あります。
皮膚病だけでなく、いろんな疾患について、病態や動物さんの性格、飼い主さんのお考えに合わせて、最適な治療が提示できるよう、努力いたします。
治療方法や方針について気になることがありましたら、なんでもご相談下さい。
文責 渡辺 高司